ヒカゲツツジ | ヒカゲツツジ

2022年05月20日
ツツジ
ヒカゲツツジの花

分類・ヒカゲツツジ(常緑樹)
開花期:4月上旬
4月上旬から下旬にかけて花を咲かせる。

扱いやすさ・★★★☆☆ 普通

有鱗片シャクナゲの中では非常に強健で扱いが容易。
夏の高温多湿の環境下にも耐え、他の有鱗片シャクナゲのように枝枯れを起こすことも滅多にない。
耐陰性が強く、明るめの日陰に植えれば春に庭を明るくしてくれる。

暑さ・僅かに弱い。真夏の西日以外は大体耐える程度
寒さ・強い。東京では全く気にする必要がない。
乾湿・多湿に強く、乾燥に弱い。


概要


日本の在来種で有鱗片シャクナゲの一種。
関東以西、四国から九州にかけての山々に自生が見られるが、狙って観察しようと思うと案外出会えない。

普通に登山道近くに自生していることもあれば、
ツツジらしく断崖や奥まった人気のない沢などに纏まって群生していることもある。

山の沢を花で照らすというそのままの意味でサワテラシという別名を持つ。

ヒカゲツツジの花


非常に独特な花色をしており、黄緑色と黄色とクリーム色の中間のような色彩の花を咲かせる。
色合い的には決して派手ではないが、風変わりで咲いているとかなり目立つ。

有鱗片シャクナゲの仲間は比較的気難しいものが多い中で、本種は髄一の強健ぶりを持っている。
適当に半日陰に植えておけば枯れることもなく、よく花を咲かせてくれる理想的なツツジ。

高山性の有鱗片シャクナゲにありがちな突然の枯れ死を引き起こすこともない。


取り扱いについて


特性

名前と裏腹にそこそこ日光を好むが真夏の直射日光を受けると若干葉焼けする。
しかし案外日差しへの耐性は強く、夏の西日が直撃するような場所でなければ大抵は育つ。

ただし、極度に日向植えの個体は突然の枝枯れを起こしたりする例も見られることから、
やはり自生地のように明るめの半日陰で育てるのが最適解と感じる。

大抵の有鱗片シャクナゲと同じく、真夏を落葉樹の下で過ごせるような環境が理想。
迷ったら明るめの半日陰に植えておくと吉。
ただし、名前に釣られてあまり日陰寄りに植え過ぎると相応に花数が減るので注意したい。


剪定

刈り込めないことはないが理想は剪定で手を入れたい。
芽を出す力が有るようで無く、刈り込みだとそこを見極めるのが若干難しい。

生育は成長の遅いツツジに類似しているので、どうしても剪定の仕方が分からなければ
花後に花がらを落とす程度に刈り込むと良い。

沈丁花やヒメウツギの手入れに近く、萌芽力と相談しながら枝先を詰めつつ古枝を更新する。
日陰気味だとあまり根元から新枝が出てこず、樹形の維持がやや難しい。


雑記


絵1

日本固有種かつ育成難度が高くないにも関わらず、本種を庭で見かけることは殆どない。

所謂有鱗片シャクナゲの中だと抜群に育てるのが簡単な部類なのだが、
どうも名前から日陰よりに植えられて花が咲かず、無下に扱われているようにも思える。

元々ただでさえ花数が多い品種ではないので、暗い日陰に植えるとより少なさが際立つ。


絵2

地味な花色と言われることもあるヒカゲツツジだが、世界中で品種改良が進む昨今
相対的に派手なツツジが増えたことで却ってトパーズ色の花は目立つように感じる。

その唯一無二の花色は是非実際に見てみて欲しい。

可能な限り現物と同じ色になるように写真を撮っているが、何色とも形容しがたいヒカゲツツジは
肉眼で見ると非常に幻想的だ。