アザレア | 越の淡雪(コシノアワユキ)

2022年05月21日
ツツジ
越の淡雪の花

分類・アザレア(常緑樹)
開花期:4月中旬
4月上旬には数枝開花させ、中旬頃には満開になる。

扱いやすさ・★★★☆☆ 普通
アザレアの中だと強健で扱い易い。
寒さにも強く東京では露地植え出来るが、
本種がアザレアである以上は関東以北だと未知数。

暑さ・普通。真夏に葉焼けを起こすことが多いので西日の当たらない場所が良い
寒さ・普通。東京では気にする必要はないが、関東以北では厳しいかもしれない。
乾湿・若干乾燥に弱く、僅かに湿気を好む。


概要


新潟県(新潟県農業総合研究所園芸研究センター)が研究、育苗した品種で
平成5年に作出されたアザレアの一品種。

基本は二重咲きだが、おしべの一部がランダムで花弁化する為に八重咲きに近い咲き方をすることもある。
分厚い花弁に黄緑色の蜜標が色濃く入り、白と黄緑色のグラデーションがとても美しい。

耐寒性はアザレアの中では強く、東京で地植えしているが霜や雪にも耐えダメージの兆候はない。
アザレア特有の狂い咲きも殆どせず、花期は安定して纏まった花を咲かせる。


越の淡雪の花

寒暖は殆ど問題にならないが、若干初夏の季節(6~7月)にもち病になり易いので注意。
膨らんだ葉を物理的に取り除きダコニール剤等などの消毒で簡単に治療出来る。

花終わりに花がらを早めに除去したり、枝を軽く透いてやったりして病気を予防してやると良い。
地植えにすると大抵は毎年数枝くらいもち病を発症するので、その都度消毒する。

もち病は他の病気と比べてあまり株が弱ったり蔓延することもなく、
手で掴み取って処分する程度でも対処は十分と思われる。


写真


越の淡雪の花2

花弁は真っ白だが蜜標が濃く、白花ながら真っ白とは大分違う黄緑がかった優しい印象の花を見せる。
おしべも花弁化したりしなかったりの不規則性で一つの株が多彩な花を咲かせ、此方を飽きさせない。


取り扱いについて


特性

東京の露地で育てている上だと暑さ寒さで問題が起きたことはないが、
本種がアザレアである以上は関東以北の真冬の外気温に耐えられない可能性があることに注意。

私は基本的に地植えの栽培に重きを置いているが、アザレアは原則的に鉢植えで育てるものなので
そうして家の中で育てるのならば寒冷地でも全く問題はないと思われる。
尚、東京では寒波よりも真夏の直射日光による葉焼けなどが問題になるので
あまり夏に長時間日の当たるような場所には植えない方が良い。

上述したが初夏にモチ病になり易く、その時期は目を光らせて膨らんだ葉を探す。
速めに病状のある葉を除去し、消毒すれば株へのダメージは殆ど出ない。


剪定

ほぼツツジと同じ成長の仕方をするので刈り込みが可能。
ツツジ類の中でもアザレアは枝が込んでいると病気になり易くなるので若干内枝を透くと良い。

ただし、根元まで日が当たるようにしてしまうと真夏に衰弱する可能性が高まるので程ほどに透く。
落ち葉などで根元をマルチングしておくと全体的に耐性が上がり強健になる。

本種は花弁が分厚く、花がらを放置すると病気のリスクが上がるので花後は子房ごと花がらを除去する。
樹形としては縦よりも横に広がっていく。


雑記


絵1

アザレアは欧州でタイワンヤマツツジを基軸にして、様々なツツジを交配した結果生まれた品種群。
全体的に寒さに弱い品種が多いのは暖地のツツジが多く親に使われた結果らしい。

江戸時代に日本から海外に運ばれた霧島ツツジ、平戸ツツジなども交配に混ざりこんでおり
様々なツツジの血が複雑に交じり合って今に続いている。


絵2

アザレアといえば鉢栽培、室内栽培が基本だが路地植えに耐える品種も案外多い。
適応すれば一般的なツツジと大差なく育ち、株も鉢植えと比べて非常に大きくなる。

やはり植物は地面に下ろしてこそ最大のパフォーマンスを発揮出来るものも多いので、
余程耐寒性が低いものでなければとりあえず下ろしてみると良い。

若干耐寒性に不安のあるものは春頃に植え冬までによく根を出させておくのと、
植えてから1年は冬に不織布で包んでおくと冬越しの成功率が上がる。
東京だと後々大抵夏の方が鬼門になり、真夏の直射日光はアザレア類を葉焼けに見舞い根の成長を阻害する。