久留米ツツジ | 暮の雪(クレノユキ)
2022年05月22日

開花期:4月上旬
江戸時代に坂本元蔵氏によって創出され、現代まで流通する久留米ツツジの傑作。
「暮の雪」「暮れの雪」と表記のゆれがあるがどちらも同じ品種。
白花の二重咲きで花の中心は淡い黄色。
存外黄色の主張が強く、真っ白とは違う優しい色合いを持つ。
花びらが薄く繊細なイメージがあり、一見すると八重咲きにも見える。

現代で4月中旬に小輪の白花二重咲きを見たら大体は本種で間違いない。
古典的な品種だが美しさと扱いやすさ故に現代まで残った銘花である。
ただし苗木の時点だと若干他の久留米ツツジより扱いにくく、
60センチを超えるくらいまでは夏に日除けをしてやるなど過保護にしてやると元気に生育する。
取り扱いについて |

久留米ツツジらしい強さを持ち、株元をマルチングすれば直射日光にも耐えるが
本種は他の久留米ツツジと比べると若干だが樹勢が弱い。
夏の日差しに耐える為の前提としてはよく土壌に根付いていることが必要で、
ツツジ全体の特徴としてやはり浅根で乾燥に弱いので、特に植え付け後は水切れに注意が必要。
5、6月頃の植え付けだと夏になった後、1日水をやらないだけで葉が萎れる場合もある。
その場合は素直に夏の間1、2年ほど日除けをかけておいてやると良く育つ。

萌芽力が強く刈り込んでも問題はない。
花終わりに剪定すると花がら対策と結実対策が同時に出来るので推奨。
花芽分化が行われるのが大体7~8月頃で、以降に剪定すると花芽を切り落とすことと同義になるので注意。
不安ならば花後剪定した後に手をつけなければ、
余程植えた場所の環境が悪くない限りは高確率で翌年に花を付ける。
雑記 |

久留米ツツジの品種群は江戸時代の久留米藩士、坂本元蔵(さかもと もとぞう)氏が始祖となる。
時に日本各国を回りツツジを集め、霧島ツツジ、サタツツジなどを元に
生涯200品種以上を生み出したツツジ界の超大家。
今にも残る久留米ツツジを江戸時代に幾つも生み出している。

坂本氏の残した偉大な功績の一つに「苔まき」という実生の技術開発などがある。
これを秘伝にすることなく同時代のツツジの愛好家にも伝えたことでツツジ交配の機運が飛躍的に高まり、
現代までに無数のツツジが生まれ続けた上で大きなきっかけとなった。
本種暮の雪に限らず、調べてみると坂本元蔵氏が創出して現代にも残っているツツジはとても多い。