岸ツツジ | 若鷺(ワカサギ)
2022年05月29日

分類・キシツツジ(常緑樹)
開花期:4月中旬
4月の上旬に開花を始め、中旬頃に満開になる。
扱いやすさ・★★★★☆ 強健
キシツツジであり相応の湿気を好むが、意外な程日差しや乾燥に対しても耐性を示す。
根付けば真夏の直射日光にも耐え、平戸ツツジとほぼ同じ環境下で生育出来る。
ただし、やはりツツジは原則的に一日中直射日光が当たるような場所には植えない方が良い。
暑さ・強い。根付いていれば真夏の直射日光にもそこそこ耐える。
寒さ・強い。東京では気にする必要がない。
乾湿・若干乾燥に強いが、基本的には湿気を好む。
概要 |
岸ツツジの園芸品種。
古典園芸品種で1600年代から栽培されていたと思われ、江戸時代には"ひとしお"と呼ばれていた。
当時の文献に残る"ひとしお"の絵と説明(花弁が6に分かれる、百合のよう)などを確認しても間違いないのだろう。
花色は極めて白に近い淡いピンクで中心に薄紫の線が入り、
花が咲き進むと色同士が溶け合って幻想的な薄紫色に変化していく。
大輪で花持ちも良く、花付きも良く樹勢も強健と良いこと尽くめである。
色が変化した後に日光が当たると宝石の如く輝き大変美しい。

咲き進んだ色も素晴らしいが、咲き始めの淡い白紫色も見事である。
花弁は5枚が基本だが時折増えて6枚になったりと若干バラつきを起こす。
岸ツツジらしい育てやすさで、近縁のモチツツジとほぼ同レベルの強健性を持つ。
花のサイズも平均的な平戸ツツジには負けない程に大きい。
若干秋頃に狂い咲きをしやすいが、くしゃくしゃにはならず綺麗に花弁を展開する。
写真 |


咲き始めは白紫色に近く、咲き進むとピンク色に近づいて行く。
咲き進んだ状態で日光に当たると殊更美しく輝く。
取り扱いについて |

大体の特性はキシツツジそのままで、耐暑性、耐寒性共に高水準。
日差しにも乾燥にもそこそこ耐えるが、若木の内は少し注意して見ていた方が良い。
基本的にはキシツツジは明るい半日陰かつ、やや湿った場所を好む。
本種に限らずツツジ類全体の特徴として、根元に日差しが当たってしまうと株が弱るので
枯れ葉などで根元を覆うと夏を元気に越させやすい。
全体的にどの品種も根が浅く、地表の乾燥が深刻なダメージに繋がりやすいツツジ類にとって
マルチングはかなり重要な保護策になり得る。

萌芽力が強く、刈り込んでも全く問題はない。
枝の途中で強く剪定を行っても枝枯れを起こすようなことはなく、
例え風や事故で枝が折れたとしても急いで新芽が生えてくる。
流石に平戸ツツジ辺りの成長速度と比べると若干緩やかだが、
萌芽力と合わせて樹高の管理が行いやすい。
雑記 |

極めて美しい上に強い。最強である。
初めて本種が山で花を咲かせた時、私はワンパンKOだった。
一番花を囲んで延々と様々な角度から写真を撮った。
花が咲き進むと色が変わり、またそれも撮った。

他に似た色合いをしているツツジ類はピンクヒカゲツツジくらいだが、
こと扱いやすさでは本種が上を行く。
この美麗で強健な花木は、是非世界中の庭に植えて欲しいと願う。
美し過ぎてもう少し世界が平和になるかもしれない。