岸ツツジ | 若鷺(ワカサギ)
2022年05月29日

開花期:4月中旬
岸ツツジの園芸品種。
古典園芸品種で江戸時代の文献「花壇綱(1681)」にも記述があるなど歴史は古い。
花色は極めて白に近い淡いピンクで中心に薄紫の線が入り、
花が咲き進むと色同士が溶け合って幻想的な薄紫色に変化していく。
色が変化した後に日が当たると宝石の如く輝き大変美しい。

咲き進んだ色も素晴らしいが、咲き始めの白紫色も見事である。
花弁は5枚が基本だが時折増えて6枚になったりと若干バラつきを起こす。
岸ツツジらしい育てやすさで、近縁のモチツツジとほぼ同レベルの強健性を持つ。
花のサイズも平均的な平戸ツツジには負けない程に大きい。
若干秋頃に狂い咲きをしやすいが、くしゃくしゃにならず綺麗に花弁を展開する。
写真 |

咲き進んだ状態で日光に当たると殊更美しく輝く。
取り扱いについて |

大体の特性は近縁のモチツツジに準じて強健である。
耐暑性、耐寒性共に高水準。
日光にも乾燥にもそこそこ耐えるが、若木の内は少し注意して見ていた方が良い。
本種に限らずツツジ全体の特徴として、根元に日が当たると株が弱るので
枯れ葉などで地表を覆うと夏を元気に越えられる
春に展開した新葉を夏に萎れさせてしまうと株が冬までにダメージを回復することで精一杯になり、
一年の成長が水泡に帰するので注意したい。

萌芽力が強く、刈り込んでも全く問題はない。
枝の途中で強く剪定を行っても枝枯れを起こすようなことはなく、
例え風や事故で枝が折れたとしても急いで新芽が生えてくる。
平戸ツツジ辺りの成長速度と比べると若干緩やかで、
萌芽力と合わせて樹高の管理が行いやすい。
雑記 |

美しい上に強い。最強である。
初めて本種が花を咲かせた時、私はワンパンKOだった。
一番花を囲んで延々と様々な角度から写真を撮った。
花が咲き進むと色が変わり、またそれも撮った。

他に似た色合いをしているツツジ類はピンクヒカゲツツジくらいだが、
こと扱いやすさでは本種が上を行く。
是非世界中の庭に植えて欲しいと願う。
美し過ぎてもう少し世界が平和になるかもしれない。