久留米ツツジ | 紫水晶(ムラサキスイショウ)

2022年05月29日
ツツジ
紫水晶の花

開花期:4月上旬

久留米ツツジの一品種。

花色は藤色がかった淡いピンクで、花弁の中心は少し強めの黄緑色をしている。
二重咲きで花弁が厚く、この色調の系統では珍しく咲き進んでも色同士が溶けずにくすむ。

花持ちが良く、色がくすんでからもそこそこ長く咲き続ける。


紫水晶の花

その僅かにくすんだ花色が名前どおりに紫水晶を想起させ、とても美しい。
特に原石のぼんやりとした色彩に色が似る。

花弁のふちがピンクで強調される覆輪タイプのツツジは多いが
暗めの色合いを持つ本種は風変わりで、咲き終わりの頃には独特な暗紫色になる。

上記画像はかなり明るい日差しが降り注いでいる時に撮影しており、
恐らく実際に肉眼で見るともう少し暗い感じの印象を受けると思う。


取り扱いについて


特性

久留米ツツジらしい強健さを持つが、本種の大きな苗が手に入ることは稀。
故に土地に根付くまでは真夏の直射日光などにはあまり当てない方が良い。

よく根付いた上でならばよく日差しを好む。

苗が小さい内は乾燥に対してもなるべく用心した方が良い。
一度水切れさせてしまうと新芽から駄目になり、通年の成長が水泡に帰す。


剪定

萌芽力が強く、刈り込んでも問題ない。
本種に限らずツツジ全体で注意すべき点として、
8、9月頃には花芽の分化が済んでいることが多く以降に剪定を行うと翌年の花が激減する。

樹勢や環境、品種で花芽分化のタイミングは変わるが、
概ね花後すぐに剪定を行うのが一番失敗しない。
後は翌年の開花まで株から飛び出した枝だけを剪定すると良い。


雑記


絵1

くすんだ色というのは侮言にもなりそうな表現だが、本種には褒め言葉になる。
この絶妙に透き通らない感じの色は正に原石よりの紫水晶だろう。

花弁が厚く日差しを受けても輝かないのも素晴らしい。
咲き進んでも中々独特な色の変化を見せる。


絵2

咲き終わる頃にはかなり色あせてくすんだ薄紫色になり、美しい。

名は体を表すというが、とても良い名前をつけたものだ。