ミツバツツジ | あけぼの
2022年06月01日

開花期:4月上旬
平野農園さんで造出されたミツバツツジの園芸品種。
花色はやや薄紫味のある桜色で透明感がある。
蜜標が退化しがちなミツバツツジの中ではかなり鮮やかな蜜標を確認出来るタイプで、
平均的なミツバツツジと比べると花弁が薄く、形もやや丸く幅広い。

ミツバツツジは同じ品種でもそこそこ花色にむらがあることが多く、
挿し木が難しい故に実生で増やされたものは特に花色が安定しない。
欲しい色をバッチリと狙い撃ちたいのならば園芸品種で色が確定している本種がお勧めである。
基本種のミツバツツジと比べて薄紫色っぽさが中々に目立ち、
同時期に咲くコバノミツバツツジ辺りと並べると色の違いが楽しめる。
取り扱いについて |

基本的なミツバツツジ類と特性は変わらない。
午前中いっぱいは日が当たり、午後に半日陰になるような環境が植えつけ場所として理想。
樹勢が良ければ直射日光にもそこそこ耐えるが、苗が小さい内は特に半日陰気味の方が良い。
本種は殆どの場合には小さな苗の状態で手に入ると思われるので、
始めはあまり真夏の直射日光下には送り出さない方が良いかもしれない。

萌芽力が弱く、可能ならば刈り込まない方が良い。
基本的にはミツバツツジは剪定で木立にするが、
数度刈り込まれている個体を見たことがある。
枝数が多い1m以上の個体は刈り込みに中々耐えているように見えたので、
樹勢さえ良ければ試してみるのはありかもしれない。
雑記 |

今後の安定した品種交配の為に、どんな環境がツツジの種の発芽に一番適しているのかを色々と試している。
鹿沼土単用だったり苔に撒いてみたりと様々。
今のところ一番安定して発芽したのは水苔を薄く敷いたもので、それ以外の方法だと私はまだ全然駄目だ。
発芽に成功しても掛け合わせ自体に問題があると生育不良を起こすなど、奥が深い。

この撒き方は江戸時代に久留米ツツジの祖、坂本元蔵氏によって生み出されたらしい。
今の時代を生きる私たちにとっては感謝しかない。
先達のツツジに負けないようなツツジを何時かは作り出してみたいものだ。
掛け合わせ以前にまずは安定した発芽からである。