琉球ツツジ | 藤万葉(フジマンヨウ)
2022年06月09日

開花時期:4月上旬
江戸時代から現在に残る古典品種。
錦繍枕(1692)には江戸万重という名前で載り、本草花蒔絵(1739)に搭載される。
唐子咲きと八重咲きが混ざったようなかなり癖の強い花を咲かせるが、
淡い藤色で調和されて派手過ぎる感じはしない。

花によっては中心のおしべが花弁化しきっておらず、
黄緑色の線が強く出たおしべと花弁の中間のような細い花弁が出現する。
花ごとにやや個体差があり観察してみると面白い。
親の岸ツツジかモチツツジの血が濃いのか、冬になると半落葉樹としての性質を見せる。
取り扱いについて |

現代だと殆ど平戸ツツジとして扱われることが多い琉球ツツジだが
本種はやや早い開花時期や半落葉樹としての性質など、琉球と平戸との中間に位置するように見える。
性質はモチ、キシツツジに似て強健。
日光への強さがやや一般的な平戸ツツジに劣るので、株が若い内は夏の直射日光に注意。

萌芽力は高く刈り込んでも問題ない。
ただし他の琉球、平戸ツツジと比べると若干萌芽力が低いことは留意する。
そこまで背が高くならず枝も込み合わないので、剪定で木立にするのも吉。
雑記 |

現代に流通するツツジの中ではど派手な八重咲きで、
おしべの花弁化が完全ではなく流動的に変化する特徴は唯一無二。
細いピロピロのようになったりおしべが半分混ざって黄緑色になったりと大変に面白い。
髪型で例えるとアフロやリーゼントレベルのインパクトがある。

しかし花の造形とは裏腹にモチツツジ系統の淡いピンク色を持ち、
実際に咲いている光景を見ても不思議とそこまで派手な印象を受けない。
それでも株全体をこの風変わりな花が覆っている光景はインパクトがあり、
派手だが派手過ぎない絶妙なバランスを保っているツツジである。