モチツツジ | 花車(ハナグルマ)
2022年06月13日

分類・モチツツジ(半落葉樹)
開花期:4月中旬
モチツツジ系の中では開花が早く、早ければ上旬から咲き始め
中旬頃には大体満開になる。
扱いやすさ・★★★★☆ 強健
花は奇抜だが樹勢は基本種のモチツツジと変わらない。
強健で根付けば真夏の連続した直射日光や乾燥にも耐える。
ただし、基本的には若干湿った用土を好む。
暑さ・強い。根付けば真夏の直射日光にもそこそこ耐える。
寒さ・やや強い。東京では気にする必要がない。
乾湿・ツツジの中では強い方だが若干の湿気を好む
概要 |
江戸時代から今に残るモチツツジの古典園芸種。
壇綱目(1681)、錦繍枕(1692)にはっきりと記載があり、特徴からも本種と同一のもので間違いない。
現代では采咲きツツジの代表品種として扱われ、古い屋敷などでは時折大木を見ることもある。
花は風変わりだが樹勢は基本種のモチツツジとほぼ変わらず強健で非常に育てやすい。
唯一開花時期のみが基本種に比べてかなり早く、その特徴からキシツツジ辺りの血が混じっている可能性はある。
葉はモチツツジらしくベタベタと粘着力があるが、基本種ほど粘らない。

がくが正面から見える程に花弁が深く裂けていて、細い花弁はそれぞれほぼ完全に独立している。
遠目に見ても花姿の異様はよく伝り、風変わりな装いは非常に目立つ。
同じモチツツジで色も形状も非常に良く似る花火は本種と間違われやすいが
花色が本種はモチツツジ特有の淡い薄ピンクであるのに対して花火は赤色の色素が強く
花弁は本種より若干細く、めしべの花柱の色が濃いマゼンタと違いが多々ある。
ほぼ特徴を同じくする色違いに白色の雪車、更にピンク色が淡い風車が存在する。
写真 |

取り扱いについて |

日差しにも乾燥にもよく耐え非常に強健。
株が根付いてさえいれば真夏の連続した直射日光にも耐える。
夏の乾きにもまあまあ耐えるが高温多湿にも中々強く非常に扱いやすい。
耐陰性もあるが半日陰に植えると露骨に花数は減るので注意。
本種は半常緑としての性質を持つので冬になると葉が落ち若干疎らになる。
特に花後辺りは弱って見えるが、平常運転なので心配しなくて良い。

萌芽力が高く刈り込んでも問題ない。
ツツジの中でも本種は花後の体力消耗が少し激しいので、
花終わりに早めに花がらを除去してやると株の疲弊を抑えられる。
本種は花がらを引っ張ると新芽ごとぶちっと取れやすいので注意したい。
雑記 |

花弁ががく本まで裂けているような、細い花弁の花を咲かせる品種を「采咲き」と呼ぶ。
本種は江戸時代から今に残り、現代では采咲きツツジの代表品種。
過去には四手車や西行、青海波など采咲き品種の選択肢は豊富だったようだが、
現在では何れも殆ど流通せず庭に使われることも少ない。
ネットオークションなどで愛好家が挿し木苗を稀に出品しているのを見かける程度にとどまる。

近くで見ても勿論美しいが、本種は遠くから見た時の姿形が非常に特徴的。
花弁は細いが大輪なので、花の独特なシルエットが遠目でもはっきりと認識出来る。
4月中旬に違和感を感じるツツジがあれば是非近寄って観察してみて欲しい。
采咲き系は現存する品種が少なく、形状が特殊で慣れれば一発で分かるようになる。