モチツツジ | 花車(ハナグルマ)
2022年06月13日

開花時期:4月下旬
江戸時代から今に残るモチツツジの古典園芸種。
壇綱目(1681)、錦繍枕(1692)にはっきりと記載があり、特徴からも本種と同一のもので間違いない。
現代では采咲きツツジの代表品種として扱われ、古い屋敷などでは時折大木を見ることもある。

花はがくが正面から見える程に深く裂けていて、細い花弁がそれぞれ完全に独立している。
遠目に見ても花姿の異様はよく伝り、風変わりな装いは非常に目立つ。
ピンク色の*(アスタリスク)マークが沢山木に張り付いているようにも見え、
細い花弁が密集して株を埋める様は繊細で非常に美しい。
取り扱いについて |

日差しにも乾燥にもよく耐え非常に強健。
株が根付いていれば真夏の直射日光にも耐える。
反対に耐陰性は低く、半日陰に植えると花数が露骨に減るので注意。
本種は半落葉樹としての性質を持つので冬になると葉が落ち疎らになる。
特に花後辺りは弱って見えるが、平常運転なのであまり心配しなくて良い。

萌芽力が高く刈り込んでも問題ない。
ツツジの中でも本種は花後の体力消耗が少し激しいので、
花終わりに早めに花がらを除去してやると株の疲弊を抑えられる。
同じタイミングで施肥も行うと吉。
雑記 |

花弁ががく本まで裂けているような、細い花弁の花を咲かせる品種を「采咲き」と呼ぶ。
本種は江戸時代から今に残り、現代では采咲きツツジの代表品種。
過去には四手車や西行、青海波など采咲き品種の選択肢は豊富だったようだが、
現在では何れも殆ど流通せず庭に使われることも少ない。
ネットオークションなどで愛好家が挿し木苗を稀に出品しているのを見かける程度に収まる。

近くで見ても勿論美しいが、本種は遠くから見た時の姿形が非常に特徴的。
花弁は細いが大輪なので、花の独特なシルエットが遠目でもはっきりと認識出来る。
平戸系、モチ系が咲いている4月下旬に違和感を感じるツツジがあれば是非近寄って観察してみて欲しい。
采咲き系は変わり色はあまりないが、形状が特殊で慣れれば一発で分かるようになる。