ゲンカイツツジ | 玄海ツツジ
2023年08月25日

分類・ゲンカイツツジ/有鱗片シャクナゲ(落葉樹)
開花期:3月上旬
かなり早咲きでエゾムラサキとほぼ同時に開花する。
扱いやすさ・★★☆☆☆ 若干難しい
他の強健なツツジと比べると少し繊細で扱いは若干難しいとしたが
有鱗片シャクナゲの中では髄一に強健で、ある程度連続した真夏の直射日光にも耐え
一定の条件下では平戸、久留米ツツジと同レベルの乾燥への耐性も見せる。
ただし、偶に見せる危険信号を見逃さないことが大事でそれが若干難しい。
開花には日当たりが絶対条件で、出来るだけ西日が当たらず日は当たるところに植えると良い。
管理に自信があれば多少西日が当たる場所に植えると花付きは素晴らしいものになる。
暑さ・普通。有る程度真夏の日光にも耐え、明らかに強いと感じるが再現性が不確定で普通とする。
寒さ・強い。東京では気にする必要がない。
乾湿・やや乾燥に弱く、若干の湿気を好むが乾燥にもそこそこ耐える。
概要 |
朝鮮半島に自生するカラムラサキツツジの変種で、対馬から玄界灘を望む地域を中心に分布する。
花は非常にすっきりとした薄紫色をしており、花弁は裏の景色が透けて見えるのではないかと
錯覚する程に薄い。
陽光が当たると透き通った花弁が煌き、まるで別の花かのような輝きを見せる。
この輝きはゲンカイツツジでしか見られず、本種の別色の白色、紅色、さくら色も同じ発色をする。
本種の近縁のタンナゲンカイツツジも同様。

有鱗片シャクナゲの中では極めて育てやすく、日差しにも乾燥にも耐性を示す。
東京においては一番育てやすい有鱗片シャクナゲなのではないかとすら思う。
有鱗片シャクナゲ特有の真夏の枝枯れ、株枯れも起こさず
ある程度連続した真夏の直射日光を受けても他の落葉性ツツジと比べて葉焼けをしにくい。
意外な程乾燥に耐性を見せるが、見極めが難しく真夏に降雨が続かなかった時は(目安は一週間程)
そろそろだろうという時に水をやらないと弱る時もある。
他に、日光が春から夏のものに切り替わる時に若干葉がしなっとすることがあるので注意したい。
小さな苗木から育てると東京でも環境に慣れ強くなりやすく、40cm程の苗を非常にお勧めする。
取り扱いについて |

有鱗片シャクナゲの中では強健で育てやすい。
注意する点としては耐陰性が低く、半日陰に植えると木は育つが極めて露骨に花数が減る。
その為に本種はなるべく日が当たる場所に植えるべきで、最低でも半日は日が当たり続ける場所が好ましい。
上述したが東京の真夏の西日にもそこそこ耐え、樹勢が良ければ他の常緑ツツジが
葉を萎れさせている横で本種はピンピンしているような光景を見ることも出来る。
西日も含めて太陽に当てると非常に花付きは良くなるが、その場合はくれぐれも観察を怠らないようにする。
また、日差しがある環境に植える時ほど根元は落ち葉などで覆うと良い。
もう一つ注意する点として5月頃から本種をやたらと好んで食害するゾウムシが付く。
彼らは余程本種を気に入っているらしく、えげつない勢いで全てを食らい尽くすので
必ず適当な殺虫剤を撒くか捕殺する。
殆どの有鱗片シャクナゲを東京で育てる上で問題になるのは真夏の環境だが、
本種を育てる上で一番問題になるのはこのゾウムシかもしない。

萌芽力は高くなく、刈り込みには向かない。
ただし植えてから2、3年経ち環境と樹勢が良いと株元や枝元から案外新芽を出すので
樹勢が極端に弱い方という訳ではない。
樹高を抑える場合は枝先を切って下の方から出てきた枝を残すという作業を繰り返す。
最終樹高は2m程度とそこまで大きくならないので、伸ばせるスペースがあるのならば
ほぼ放置でも良いかもしれない。
成長スピードは緩やかで、平戸ツツジやモチツツジのような爆発的徒長はしない。
尚、花後に花がらを取ると結実せず樹勢が弱らない。
他のツツジと比べても本種の結実は案外樹勢を弱らせる原因になるので注意する。
雑記 |

知識の中にのみあったものが実際に育てた上で印象が変わるいうことはよくあるが、
本種はその代表で樹勢は病弱のイメージが小麦色のマッスル(弱点は喘息)まで変わり
花は花弁の恐ろしい程の薄さから日差しが当たると透明感を伴って輝き宝石の如くである。
どんなものでもやはり、現実で取り扱ってみなければ分からないものだ。

特にこの花弁の輝きの美しさはゲンカイツツジ特有のもので美しいオブ美しい。
日差しや角度でも若干色が変わり、花弁の向こうが若干透けて見える勢いだ。
幻想的と言わざるを得ない。あまりにもキラキラとし過ぎている。
そして日が当たっていない時の落差も素晴らしい。
尚、繊細な花を持つ割に意外と花持ちが良いのも素晴らしい。